雑に記すと書いて雑記(仮)

アニメ、漫画、ラノベなどについて感想などを書きます。

『ミモザの告白』一巻 感想 難しいテーマだけど教科書感が無い

どうも。

今回はライトノベルの『ミモザの告白』を読んだ感想を書きたいと思います。

 

 

あらすじ

 

その告白が、世界を変える。
とある地方都市に暮らす冴えない高校生・紙木咲馬には、完璧な幼馴染がいた。
槻ノ木汐――咲馬の幼馴染である彼は、イケメンよりも美少年という表現がしっくり来るほど魅力的な容姿をしている。そのうえスポーツ万能、かつ成績は常に学年トップクラス。極めつけには人望があり、特に女子からは絶大な人気を誇っている――。

幼馴染で誰よりも仲がよかった二人は、しかし高校に進学してからは疎遠な関係に。過去のトラウマと汐に対する劣等感から、咲馬はすっかり性格をこじらせていた。

そんな咲馬にも、好きな人ができる。
クラスの愛されキャラ・星原夏希。彼女と小説の話で意気投合した咲馬は、熱い恋心に浮かれた。
しかしその日の夜、咲馬は公園で信じられないものを目にする。

それはセーラー服を着て泣きじゃくる、槻ノ木汐だった。

引用元:https://www.shogakukan.co.jp/books/09453018

 

感想

 

2021年に一巻が発売され、現在は2巻まで刊行されている作品です。

私はこの作者の方の作品が好きで、この作品も発売後すぐに買わせていただきました。

ですが、この作品が別の作者の方が出した作品でも買っていたのではないかと思います。

というのもあらすじを読むだけでもなんとなく伝わってくるかと思いますが、この作品はジェンダーの問題を題材にしている話です。こういう複雑な問題がテーマのライトノベルは少ないのではないかと思います。

ジェンダー問題についてはここ最近よく話題になっており、ニュースなどでも取り上げられたりしているので、詳しくは知らなくてもそういうものが社会で問題になっている(問題になっているというのもおかしいかもしれないけど)のは知っている人も多いと思います。

もちろん問題について詳しくなくても簡単に読んでいける作品ではありますが、もし、詳しく知らないという方は調べてからこの本を読むと解像度が深くなり、さらに面白く読めるかもしれません。

ここでジェンダー問題について私なりに説明しようかとも思いましたが、複雑な問題ですし、あまりに長くなりすぎますのでやめておきます。

個人的に社会問題を題材にした小説や漫画は道徳の教科書みたいになりがちだと思うんですね。もっと具体的に言えば問題について取り上げているのはいいが面白みにかける、ということです。

しかし、この作品は、そんな複雑なジェンダーというものを題材にしつつも、恋愛青春小説としても楽しめる作品になっています。それでいて問題について無責任な描写はせず、しかし肩入れしすぎない、まさに中立な描写がなされていると思いました。

この作者はとても文章が上手く、それがこの作品でも出ておりとても読みやすくなっています。

もしあまり小説を読んだことがない人にもオススメできる作品だと個人的には思いますね。

 

懸念すべき点

 

ただ、一つ懸念すべき点があるとすれば、この作品はまだ完結していません。

ですのですぐにこの作品の結論が読みたい! という方にはお勧めできないかもしれません。

 

まとめ

 

懸念すべき点として完結していないことを挙げましたが、むしろ私はこれがまだまだ終わらないことがすごく嬉しいです。

複雑な問題が現れ、その結果平穏な日常が不穏な雰囲気に変わる、というシチュエーションがすごく好みなんですよね。趣味悪いと言われそうですが笑

とにかくこの作品がどういう終わり方をするのか非常に気になる作品です。これからもこの作品は買い続けたいと思います!

 

ちょっとした考察 ※ネタバレ注意

 

最後にちょっとした考察を。

物語の途中で主人公は別の男(主人公の同級生の軽いノリの男で三股している上に中学生とも付き合っている。汐が男であることは分かったうえで恋人にしたい。)に言い寄られた結果、槻ノ木汐が自分から離れていく展開があり、そのことを嫌がる感情が自分にあることに気づきます。

これについてこの本の中では主人公が明確な答えを出すことはありませんでした。(出してたらマジでごめんなさい)

これについての答えははたして恋愛感情なのか、それとも幼馴染がいけすかない男に取られるのが嫌なのか。私はどちらでもないと思います。

まず、前提として今までイケメンで文武両道の汐に主人公は劣等感を抱いていました。しかし、汐が女装をするようになってからは、周囲からの風当たりの強くなる汐を庇うことが増えました。つまり、頼られることが増えたわけです。

主人公が抱いた嫌悪感の正体は、『今まで劣等感を抱いていた幼馴染が自分なしでは生活しにくい存在になったのにも関わらず、また自分の元から離れ自立しようとしているのが嫌だった』、のではないでしょうか。

いや、それは違うだろう、というような意見、考察を見て感じたことなど、感想がございましたら是非ともコメントください。

すでにこの小説は2巻も出ているのですが時間がなく、まだ読めていません。

二巻で答えが出ていたらいいなあと思います。

それでは。