『タコピーの原罪』の感想 終盤あたりちょっと雑じゃね?って話
どうも。
『タコピーの原罪』という漫画を知っていますか?
まぁ漫画をよく読む人には今知らない人はいないといっていい作品だと思います。
タコピーはジャンプ+で連載していた作品です。
タコピーを知らない、という人のためにあらすじを説明すると、
「ハッピー星から来たタコのような姿をした宇宙人のタコピーがいじめられている小学4年生の女の子、久世しずかを笑顔にするため、様々な特殊な力を持つハッピー道具を使って奔走する。」
というのがおおまかなあらすじです。
この漫画の特徴として登場人物を取り巻く凄惨な問題をリアルにシビアに描写しています。
例えば、主人公の久世しずかは父親が家庭を捨てて父のいない母子家庭で育っており、そして残った母親は水商売をしているため、あまり家にいないという厳しい環境で育っています。
さらにいじめられている理由も単純なものではありません。
いじめの主犯格は雲母坂まりなという女の子なのですが、彼女の父親が久世しずかの母親と親密な関係になった結果、家庭を顧みなくなり、そのことで彼女の母親と父親は喧嘩が絶えない、という荒れた家庭環境を過ごしています。そのことで久世しずかを憎んでいることがいじめの原因となっているわけです。
このようにジャンプ+では類を見ないほどの登場人物を取り巻く劣悪な環境、また、毎週飽きさせず次週を期待させる「引き」などなどの理由から一話目から注目を集めていた作品でした。
私自身、毎週楽しみにみており、最終話も更新された瞬間に読ませていただきました。
今回は最終話を読んだうえでの感想を書きたいと思います。
※ここからネタバレ注意
最終話を読んでの感想
先週金曜日、ついにタコピーが更新され、ワクワクしながら最終話を見て読み終わり初めに抱いた感想は、
「あれ……これで終わり……?? なんか終わり方雑じゃね??」
でした。
これはまず、最終話の一つ前にあたる15話では、タコピーが自分の存在と引き換えにもう一度だけハッピーカメラを使って時を戻す展開になります。
さていじめや家庭の問題などをどう解決するんだろう? と思っていたら……
タコピーの力で物語における一話の時間まで遡る
↓
まりなちゃん(雲母坂まりな)がしずかちゃん(久世しずか)をいじめてる
↓
しずかちゃんが書いた?タコピーの絵を発見する
↓
二人はタコピーの記憶が残っていて互いにタコピーについて語る
↓
号泣
↓
数年後、しずかちゃんと満里奈ちゃんが仲良しになっててEND!
うーん……なんか雑じゃないですかね?
というのも別に終わり方に文句があるわけではなく、そもそもまりなちゃんが気に食わないからしずかちゃんをいじめている、という単純な問題ではなくて、しずかちゃんの母親がまりなちゃんの父親と関係を持ったためにまりなちゃんの家庭が崩壊し、そのことで恨みを持ちしずかちゃんをいじめている、という状況なわけです。
この状態って話し合い?とかその程度のもので解決するんですかね?
いじめとか家庭環境とかリアルに描写してきたのに最後にそれが解決する描写だけなんだか個人的に薄いように思えるんですよね。
まあしずかちゃんが「まりなちゃんと仲良しで幸せー」という考えなのはいいかな、とは思います。なぜなら彼女はいじめの解消が目的だったわけではなく、ずっといじめが原因で遠くにいった愛犬のチャッピーを取り戻すことが目標だったわけですので。
そしてそのチャッピーを求める理由も親があまりいない家庭環境やいじめなどのつらいことを分かち合う誰か求めていた、と15話から解釈しました。なので、気持ちを理解してくれるというか、話を聞いてくれるならタコピーやそれこそまりなちゃんでもだれでもいいのではないか、と。(まぁまりなちゃんと和解した結果チャッピーも生き残ったが)
しかし、まりなちゃんは違います。物語で描写される一番初めの時系列(12話)から家庭=ママがまりなちゃんの問題の中心にいるわけです。
そして2話でもしずかちゃん(に変身したタコピー)が「話せばきっとわかるはず」といった際もまりなちゃんは「お前にだけは言われたくない」と言ってるんですよね。
……まりなちゃんの問題って彼女としずかちゃんのコミュニケーションをとることで解決するものだったんでしょうか?
私には不可能なのではないかと思います。
最終話以外にちょっと引っかかったところ
この感想を書くうえでタコピーを読み直したのですが、まだいくつか雑、というか投げっぱなしでは?と思うところがありました。
例えばタコピー星の最も大切な掟って何だったんですかね?
まぁ正直あまり本筋に関係がないといえばそうなんですが……。
だから意図的に情報を出してないだけですかね?
あと、15話に出てきたハッピー力という要素も唐突だったように思います。ハッピー力に関しては、Twitterなどで疑問に思っている人も見受けられました。
まとめ
色々書いてきましたが、結局の所、私の最終話を踏まえての感想は、「終わり良ければすべて良し!感が強いなー」です。
最後の二人が笑顔になるまでの過程の描写が薄い分、説得力が少し足りないように思いました。
途中までの絶望感のある描写がすごかっただけに……というのもあります。
いや、本当に途中までは、あまりないタイプの作品だし、しかも毎週すごい展開の応酬で立ち止まるところなく読み進めていたんですけどね……。
最終話だけは、「ん?」となってしまいました。
しょうがないこととはいえ、もう少し長く連載できていればなぁ、とも思いましたね……。
じゃあ、結局『タコピーの原罪』は面白くなかったのか?
それではここまでの感想を踏まえて、『タコピーの原罪』は面白くなかったのか?というと、全くそんなことはありません。最終回を踏まえたうえでもすごく面白かった、と言えます。
決して「最終話について文句言ったから面白いつってバランスとっておくか……。」というわけではなくありません。
最終話の二人仲良くなる終わり方にも別に不満はないですし、最後につなげる展開が少し描写が足りないとは思いましたがそれが全体のストーリーの評価を下げることはないですし。
あと、東君の一連のストーリーはかなりキレイにまとまってると個人的に思います。
10話はかなり良い話でした。ああいう理由のない家族愛というか兄弟愛みたいな話好きなんですよね。
ほかにもいくつか『タコピーの原罪』について語りたいことはありますが、今回はやめておきます。長くなりすぎますので。
もし、この記事を読んで「ここはこういう解釈をするのが正しいのでは……?」というご意見や記事を読んでの感想などなどありましたらコメント欄にお書きください。
ちなみに4月4日にタコピー下巻が出るようです。ちょっと欲しいですけど、今私は金欠なので買えません。
それでは。